2009-06-21

島へ。


普段はあまりテレビを見ない方だが、
昔「世界遺産」という番組にハマって、
毎週のように画面の前に座っていたことがある。
モンサンミッシェルの存在は、たしかその番組で知ったように記憶している。

パリからTGVで約2時間、バスに乗り換えて1時間半。
ノルマンディー地方とブルターニュ地方の境目あたりに位置する、
小島のてっぺんに築かれたその修道院に、
土日を利用して行ってみた。
前にテレビで見た景色を実際に目にするのは、なんだか不思議な気分だった。


島についてすぐ、バゲットサンドなどの軽い昼食をとり、
修道院への坂道をのぼっていった。




祈りを捧げるためだけに作られたような、ごくごく小さな僧院を想像していたが、
中は思いのほか広かった。
モンサンミッシェルの原型となるものができたのは700年代のことらしい。
今が2009年ということは・・?と考え出してはみたものの、
あまりに昔のことすぎてもうよくわからない。
その後、時間をかけて、少しずつ少しずつ作られていったというけれど、
今みたいに技術のない時代に、こんな場所まで建材を引き上げながらつくるのは、
とても大変だったに違いないなぁ、と思う。


壁は石造り。でも天井は重さを考慮して木で作られていた。


物資の運搬に使われたらしき装置。急勾配具合がすごい。


僧院の一番上には、回廊。冬は・・寒そうだ。


この島の周囲は、潮の満ち引きでガラリと状況が変わってしまうので有名だ。
引き潮のときには、満ち潮のときにあった水が消え失せ、
はるか彼方まで見通せてしまう。
雲の影が地面に映る様子などを見ながら、
時間を分けてゆっくりと散歩をしている間にも、
潮の具合は刻々と変化していく。
地面はたしかに濡れているのに、
陸なんだか海なんだかそれ以外なんだか、よくわからなくなるような景色が、
空と溶け合っているのを見ているのは面白かった。





潮が引いている間には、ガイドの案内で、
水が一時的に干上がった場所を歩いたり、馬に乗って走ったりすることができる。
この日もそういう人たちがたくさんいた。






ここにはパリからの日帰りでもこれる距離だったが、
夕焼け、夜、朝と、いろいろなシルエットの島を見たくて、島内に泊まった。
宿を抜け出しては、海や、島に続く唯一の道を歩いてみた。
色々な国から来ている人たちが、思い思いに散歩しているのによく出会った。
自分も観光客のくせに、観光客ばかりに会うのはあまり好きではないけれど、
こんな風に、ゆるやかな時間の流れを、ゆるやかに共有しているかんじは、
悪くないなと思った。





朝、5時過ぎに起きてみたら、外はまだ暗かった。
ひとりでそのまま、しばし待つ。
そのうち、東の空がグラデーションになってきた。
朝はゆっくり部屋から外を眺めて、コーヒーでも、
と思っていたのに、
いざ明るくなってくるとうずうずしていてもたってもいられなくなった。
ああもうだめだ。出よう。
夫よ、妻は外に出ます。と宣言。
すると、ねぼけまなこのままついてきてくれた。(申し訳ない。。)
外では、数組がぽつりぽつりと散歩をしていた。
日本人の女の子の2人組が、ホテルの部屋にある毛布にくるまり、
ぼんやりと朝日を眺めていた。
毛布隊はその後、それをかぶったまま島の外へと続く道を歩いていき、
やがて小さな点となって消えた。
・・根性あるな。









9時半発のバスにのり、島にお別れ。
帰りはちょっぴり節約をと、TGVから在来線に乗り換えてみた。
さすがに、長い。
おしりの痛さを感じつつ、ゴトゴトと各駅停車に揺られてパリへ戻った。





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