2009-06-18

脱落ち武者


「外国でやってみたいことリスト」というのが自分の中に存在するならば、
ずっとやってみたかったのは、髪を切ることだった。
それも、言葉の通じない国で、言葉の通じない者同士で。

ところが、そんな風に思っていたにもかかわらず、
よく考えたら1年くらい髪を切っていなかった。
さてそろそろ・・と重い腰をあげ、まずは本屋さんへ。
髪型の載っている雑誌はあるかな?と棚を見ると、
いくつかあったのでパラパラめくる。
しかし、笑えるほどモード・モードな髪のオンパレード。
私がこうしたら、という想像の余地もないほどの、
圧倒的なモードっぷり。
一体どんな服を着、どんな顔をして歩けばいいというのか。

ネットで少し調べるか、と思ってキーボードをたたくと、
「もうフランス人に髪は切らせない!」
「ひどい目にあった、やっぱり日本人が一番うまい!」
の文字ばかり。
やっぱりあれか?ああいうモードなかんじになるのか??と少々不安がよぎる。


でもこんな風にうだうだしていて切らないなんてもったいない。
ええい面倒だもう行ってしまえ、と思い、
とりあえず「マレで髪を切る」ということだけ決めて、外へ。
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる歩き回り、
ここだと思ったところを発見した。
チェーンとかじゃなく、有名でもなく、
小さくて、でもお客さんが来ていて、大丈夫そうな匂いのするところ。
しかし、マダムともうひとり、前髪をパツンと切った可愛い女の子のふたりに対し、
5人くらいお客さんがいる。
混んでいる状態での交渉はお互い面倒だと思い、
いったん少々時間をおいて出直し、
お客さんが残り1人になっていたのでそのままお店に入った。


最近のパリでは英語が通じる、とはいうものの、
観光客相手に仕事している人をのぞくと、
まだまだ若者でもしゃべれる人は限られている、というのが実情。
マダムはおらず、女の子が出てきてくれたが、英語はやっぱり喋れない、という。
私が使える単語はごくごくわずか。
とりあえず料金表を見て、
coupeってバゲットのクープと一緒?だったらカットかね、
と適当にcoupe を連呼した。
おっ、shampooing は別っぽいと思い、それも追加。
あとは彼女が出してくれた雑誌で、
彼女が一番最初に指差した髪型がよさそうだったので、「ウィ」。
どれくらいの長さ?というので、迷った。
いつかベリーショートにしてみたい、と言い続けつつ、
今回もまわりに止められたので、
このへん、と適当に耳の下と肩の間らへんを指差し、「あとはよろしく」。

切っている途中でマダムが帰ってきた。
どうやら残りのお客さんがパーマで待ち時間ができるから、
その間に犬の散歩をしていたみたいだった。
このナイスなゆるかげんがすきだ。

こうして、だらりんとのびきった私の怨念系後ろ髪はなくなった。
仕上がりもナチュラル。
そもそも、適当に髪型を決めたわりには、よいかんじだ。
むしろ美容師さんの女の子ががんばってくれた、というのが正しいが。
ほんのちょっとの意外性が含まれるから、
髪を切るってやっぱり楽しい。

2 件のコメント:

  1. いいねぇ、いいねぇ。楽しんでるねえ^^
    アメリカも楽しいけれど、ヨーロッパを見ると。。笑
    やっとNYに戻ってきたよ。一時的にですが。
    旅は楽しいけれど、慢性的な野菜不足です。。

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  2. きんかんさん
    おかえりー。
    NYどうかな、やっぱ暑いかな。
    私は、こっちの生活も楽しんでいるけど、
    きっと戻ってメトロの駅出たりしたら、
    「あ、帰ってきたー」って思うんだろうな、って思う。
    きんかんさんもそうじゃない?^^
    とにかく今は、野菜をムシャムシャやりつつ、
    疲れをゆっくり癒しておくれー。

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