2010-01-06

メキシコへ。(3)


この日も引き続き、晴れ。
カンクンの海の色は、不思議なくらいに空の色に左右されるから、
こんな風にいい天気だととても嬉しくなる。

ホテル前の場所で、本日の日帰りツアーの車を待った。
横づけされたのは小さめのミニバン。
ドライバーとガイドさんに挨拶をし、乗り込んだ。
車は、他のホテルにも立ち寄って数人をピックアップし、
高速らしき道をガンガンに飛ばしながら、ユカタン半島をひた走る。


私たちが選んだのは、現地でやっている小さな会社のツアー。
これが、思いのほかよかった。
まず途中で立ち寄ってくれたのが、この畑。
アロエに似てるような気もするけど、これってなんだろう・・?
と思っていたところ、
「テキーラの原料なんですよ」とガイドさん。
最初にやってみた人は、よくぞ思いついたものだ、としばし感心。


車からは降りられなかったが、
マヤの人たちが住む、古い小さな町の様子も少しだけ垣間見ることができた。
彼らは遺伝的な形質により、首が短く、体も男女共に小柄らしい。
観光地として開発されたカンクンと違い、ここには普通の人たちの生活があって、
時間もゆっくり流れていそうな気がした。

         

一番目の目的地に着く少し前、一見すると何もない、
ごくごく普通の家の前のような場所で車が止まった。
ガイドさんが降りて、何事かを交渉している。
車に戻ってきた彼の手にあったのは、これ。
焼きたての、トルティーヤの皮。


ガイドさんが「これをかけると美味しいんです」と言って渡してくれた、
粒の大きな天然塩(だと思う)をパラパラふりかけてさっそくいただいた。
まだあたたかくて、とてもいい香りがした。
トウモロコシの粉と水という、とてもシンプルな材料を練って作っているはずなのに、
ほんのりとした甘さが印象的な、奥深い味。
メキシコは全般的にゴハンが美味しかったのだけれど、
この味は今でも記憶に残っている。
それくらい、美味しかった。


そうこうしているうちに、車は泉に到着。


一体どうしてこんな形になったのか、
何気ない地上の一部にぽっかりと大きな穴があいていて、
はるか奥深くには、たっぷりと水をたたえた泉が見える。
植物が地上から泉に向かって垂れ下っている様子が、
神秘的で、とても不思議なものに思えた。



螺旋状の階段をグルグルと下りていくと、泉にたどりつく。
泉は観光客に開放されていて、希望者は中に入って泳ぐことができる。
私たちふたりは、観察組を決め込み、色々な人を眺めて楽しんでいた。
横の階段から、泉に向かって飛び込むひとも多数。
ライフジャケットを借りることもできるので、
お父さんやお母さんのどちらかと一緒に泉に入っている赤ちゃんも、
けっこう見かけた。


あたたかい場所に行けばいくほど、原色に近い色の花が咲く。
当たり前のことのように思っているけれど、よく考えてみると不思議な気もする。


お昼ゴハンののちにセノーテの泉を出発し、とうとう遺跡に着いた。
日差しがかなり強い。



世界遺産になっている、ククルカンのピラミッド。



階段の一段一段は、実は日を表わしていて、
段数を合計するとマヤ暦の1年になる。
さらに、春分の日と秋分の日の日没時にだけ、
このピラミッドの象徴である蛇の形が、
浮き上がって見えるという仕組みになっているらしい。
光と影を利用したその表現方法と、綿密な計算には、驚くほかない。


遺跡のある場所は本当に広大で、全て見てまわるとなるとなかなかの大仕事。
それでも、天文台や球戯場跡、生贄がささげられていた泉など、
興味深く見てまわった。


手作りの刺繍は、複数の原色が配された華やかなもの。
午前中、小さな町で見た女性の服にも、こういう色合いの刺繍が施されていた。
気温と色には関係がある、ということを、あらためて面白いと思った。

余談だが、ガイドさんから事前に予告されていた通り、
お土産屋さんのそばを日本人観光客が通ると、
「ビンボープライス!」「ホトンドタダ!」などと声がかかる。
誰ですか、間違った単語を教えたのは。


そんなこんなで、ひたすら歩き続けた遺跡観光も、おしまい。
帰路は車中でたっぷり寝て、ホテルに戻った。

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